弁護士由井照彦のブログ

法律の視点からの社会・事件やリーガルリサーチについて

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現代の「勘当?」−子供に財産を全く残さないことができるか?

記事の泰葉氏が実際のところどのような財産状態で、本当に実家の財産を当てにしているかどうかは、知る由もありませんが、それはともかく、自分を相続するであろう子供に大きな借金があり、先祖伝来の土地などの財産を守りたい場合にどうすればよいのか悩む…

「辞めてやる!vs.手続きだ!」?−職業人の契約あれこれ

私は、宮沢りえさんの「Santa Fe」に衝撃を受けた世代なので、貴乃花にはいささかマイナスの感情がありますが、それはともかく、記事のように相撲協会の芝田山広報部長が言う「適式な届けが出ていないので、受理していない。よって、明日も仕事していただく…

開き直りは得策か?ーふるさと納税と寄附金制度の本質

総務省がふるさと納税の返礼品を地場産品に限定し、返礼率も抑えようと要請するのに対して「要請は助言」と開き直る自治体や首長を「頼もしい」と讃える風潮がある地域もあるような気がしますが、それはともかく、開き直った先に展望があるか?をふるさと納…

落ち着きどころは難しい?−債務免除と安売りと税金

スルガ銀行の経営陣や個々の銀行員の責任はこれから厳しく問われていくと思われますが、それはそれとして、同行から融資を受けてシェアハウスを建てた人(スルガ銀行からの借主)について、今後どのような落ち着きどころを探るかは非常に難しいものと思われ…

違法と不当−行政に絡まる2つの視点?

記事のように、これらの問題を「違法なのか?」という視点でとらえる見解が散見されます。このような見解は、おそらくは安倍政権擁護という目的又は政治的意図はともかくとして、行政府(総理大臣は行政のトップ)の行為の評価の観点からは中々興味深い内容…

文書管理の大事さ−決裁文書の書き換えはなぜ罪深いのか?

以前にも少し書きましたが、今回安倍首相や麻生財務大臣に問われている「政治責任」という言葉は曖昧で確たる内容を持っていないコトバです。そこで今回は、安倍首相・麻生大臣の政治責任の基礎の1つである決裁文書書き換えの罪深さについて少しだけ説明し…

文書偽造は何を偽るの?−書換え問題を考えてみる

私は弁護士になる前にとある民間企業に勤めていたのですが、すべての決裁が終わった決裁文書を事後的に修正して入れ替えるなど、かなりマジな違法行為であることは従業員全員が当然の前提としていたように思われます。 しかし、そもそも今回の書換えというの…

間接的安楽死・尊厳死・積極的安楽死−ぐちゃぐちゃな議論をしないために

「安楽死を短絡的に、『役に立たなくなった人は死ねということか』という議論に結びつける」ほど短絡的かはともかく、橋田壽賀子氏が言うように安楽死についての日本の議論は「ぐちゃぐちゃ」感が否めません。 そこで今回、法的な議論としての安楽死について…

職務質問は任意?−行政警察活動の悩ましさ

記事を見る限り、容疑者は職務質問を受け、急いでいたので嫌だったから断った、任意だから断れるはず、というような供述をしているものと思われます。それがなぜナイフを持ち出すということにつながるのかはよくわかりませんが、それはともかく、「職務質問…

育休は国益に適う?−休暇制度の多面性

記事の青山アナをめぐって、「民間では考えられない」「6年も育休でその期間の社会保険負担等は育児支援として疑問」等の議論があるようです。この議論の前提にある「育休」とはそもそもなんのための制度か?を確認することはこの問題を越えて我が国の労働…

死刑の「基準」と「罪を憎んで人を憎まず」の関係?−永山基準について

死刑は我が国で最も重い刑罰であり、しかも人の人生そのもの終わらせる、生命を奪う刑罰です。したがって、決して軽々に科すべき刑罰ではありません。近時、大きな事件があるとすぐに「死刑にしてしまえ」のような言葉をネットに書く人がいますが、死刑とい…

「法律家のための税法(会社法編)

東京弁護士会編著「法律家のための税法(会社法編)」の改訂に伴い、少しだけ執筆しました。

最高裁は国会任せ?−合憲判決と国会の関係

前回NHKとの契約強制について投稿したところ、「NHKも結局民法と同様の原理で番組を作っているのでは?」というご指摘をいただきました。この点については、一般の方が抱く「合憲判決」「違憲判決」のイメージが実際のそれとは異なっているのかもしれないと…

「見ないから払わない」は正しいか?−表現の自由と放送

記事にある「見ていないのに支払うのはおかしい」という感覚は非常に説得力があり、今回の最高裁判決に反感を持つ人が多いのも当然といえば当然だろうと思います。 ただ、「見たくないから払いたくないvs.法律が合憲だから払うのが当然」というような単純な…

味のある最高裁とその限界?−300日問題の解決のヒント−その2

裁判は嫡出推定及び否認制度の合憲性を認めた一方で現行制度での不都合、特に300日問題の解決を立法府に求めたようであり、これはこれで味のある判決だと思います。 さて、前回説明した嫡出否認制度の例外を認めた昭和44年の最高裁判決の味わい深さを考…

父が決まればいい?−300日問題の解決のヒント−その1

前々回、我が国では子を育てる責任を負うのは親であるという前提の元、我が国の民法は子の福祉及び国家の視点からの要請から、①父を「自動的に決める」②子を育てる責任を容易には免れさせないことを定めており、具体的には ①父子関係と婚姻を結びつけて婚姻…

親は「決めなければならない」−300日問題の背景−その2

前回、 ①親を定める=育てる責任を負う者を決めることが子の福祉にも国家の要請にも適うこと ②同じ目的で親と決まった者がそれを否定する=嫡出否認は非常に限定された場合にのみ認められること を説明しました。今回はその先の展開を説明します。 まず、3…

親子って何?−300日問題の背景−その1

親子って何?−300日問題の背景−その1 記事のとおり、いわゆる300日問題について、その背景又は原因とされる嫡出推定制度の合憲性について正面から争われた裁判の判決が29日に出されるようです。 そこで、300日問題について何回かに分けて説明し…

給与所得控除は多いのか少ないのか?−法と歴史は「使える」ツール

本ブログで様々な問題を落ち着いて考えるために現行法の規定やそれについてのオーソドックスな説明をツールとして使うことをお勧めしています。コレに加えて、問題となる規定や制度についての議論の「歴史」も冷静な思考の非常に有益なツールです。それを説…

ウィルスの保管は犯罪?−ウィルスも主観が大事

記事のようにコンピューターウィルスを保管しているだけで罪になるのか?研究目的等仕事で保管していても罪になるのか?という問いは実は10/12に説明した「主観は周辺の客観的事情から判断する」ことと深くかかわります。 まず、法律はともかく条文から出発…

故意と過失の境界線?−危険運転致死罪の特殊性

10/11〜10/15まで4回投稿した事件の続報で容疑者が危険運転致死罪で起訴されたとのことです。 前回投稿では「故意」の悪質性に着目した説明でしたので、故意と過失の境界線ははっきりしている、というイメージを持たれたかもしれません。しかし、今回の事件…

大事なのは「きまり」?−「何を決めていたか?」を明確に

記事のように茶色の地毛を黒く染めるよう強要するのは、黒以外の髪色という特定の身体的特徴を蔑んでいるとの見方は十分あり得ますので、本件で人権や人格的利益が論じられることは当たり前といえば当たり前です。 しかし、「人権」「価値観」の議論は妥協が…

刑は有限?−刑の「重さ」を考える

ここ3回の投稿で高速道で自動車を停止させた死亡事故を題材に刑法の思考を説明しましたが、これに対し、事件の悪質性や被害者の残された子を考えると「死刑か無期懲役くらいじゃないと納得出来ない」という意見をいただきました。一般の方の感覚としては当…

どれくらい塀の中に?−言い渡される刑の幅

一昨日、昨日の投稿で刑法がより悪質な犯罪を抑止しようとしていること、故意の判断プロセス等を説明したところ、「被害車両を停止させた容疑者と後ろから追突したトラック運転手が同じ罪名なのは納得がいかない」というもっともなご指摘がありました。そこ…

心の中をどう覗く?−故意は周りから

昨日の記事について、「一般人は殺人で起訴できるかも知れない」と思っているという鋭いご指摘を受けました。そこで、刑法が強い社会的非難が向けられ、重罰を科すべきと規律する「故意」についての判断過程を少し説明しようと思います。 昨日説明したとおり…

「殺す」と「死なせてしまう」の差−法律は実は甘くない

記事のような悪質な過失致死事件が報道されると「人を死なせたのに過失致死程度だなんて」「殺したも同じだ」というような人が一定数います。そして我が国の刑法(特別法を含みます)やその運用に携わる裁判官・検察官・弁護士を「甘い」と評価する人もそれ…

内部留保に課税する?−収得税と財産税で議論を整理

希望の党が公約として消費増税を凍結し、代替財源として企業の内部留保への課税を検討していることについて「内部留保=悪だというのは共産党と同じリベラルで左な発想だ!」vs.「消費増税凍結のためには仕方ない」等という恐ろしく粗雑で中身がわかりにくい…

保守やリベラルって何のこと?−憲法の規定から整理すると

総選挙公示を控えて政党再編が喧しく、「穏健な保守」「リベラル」等という思想用語のようなものが飛び交っています。しかし、そもそも「保守とは何か?」「リベラルとは何か?」について明確に語られることが少なく、議論が非常にわかりにくくなっています…

気づかぬ内に消費者金融?−銀行カードローンの仕組み

記事のような銀行カードローンの問題を考えるにあたっては、おカネの貸し借りに関する基本的な法的仕組みを理解しておくことが非常に有益です。 まず、記事で言う「総量規制」とは貸金業法に定めがあり、 貸金業法13条の2「①貸金業者は・・・個人過剰貸付契…

どこで思いとどまるか−予備→未遂→既遂の流れの中で

記事の郵便局員は相当な胆力ですが、それはともかく、記事のように犯罪を「思いとどまる」ことを我が国の刑法が重視していること、そしてそのための仕掛けを知っておくことは、今後も次々に起こる新手の犯罪やそれを罰する新法の是非を考えるにあたってとて…

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